30歳を過ぎた“新人看護師”は受け入れてもらえますか?不安だらけの“30代 新卒看護師”に贈る言葉
ツイート増えている“30代の新卒看護師”
最近、
一般企業に勤めていた人や
4年制大学を卒業した人が看護学校や看護大学に入学し、
看護師を目指すケースが非常に増えています。
私が数年前に講師を務めた看護学校では、
半数近くがこういった方々でした。
就職難や不安定な景気から、
“手に職を”と考える人が増えているようです。
実際の現場にも、
4月に30歳を超えた新卒が入職してくることが増えました。
一昔前までは異色な存在だった“30代の新卒”ですが、
今はさほど珍しい存在ではなくなっています。
しかし、そうは言っても、
「こんな年齢で新卒なんて、やっていけるのだろうか…」と、
不安だらけで入職の日を迎える方も多いことでしょう。
また、現役の看護学生の中にも、
「看護学校に入学したは良いけれど、就職先はあるのだろうか?」
「希望の病院に就職できるのだろうか?」
と、不安を抱いている30代は多いと思います。
人生経験があるからこその不安
30代ともなれば、
自身で会社勤めをした経験を持つ方もいるでしょうし、
周りの友人からも様々な職場の話を聞くことが多く、
“現実社会”を知っています。
何も知らない20代の若者とは違った不安を
抱くのも当然のことと言えるでしょう。
「若い同期に交じって、うまくやれるのだろうか?」
「年下の先輩からの指導に耐えられるだろうか?」
「職場で浮いてしまわないだろうか?」
「体力的に耐えられるだろうか?」
このような不安は、
30代の新卒であれば誰もが抱えている悩みです。
最初が肝心!20代の同期とうまくやるには…
どんな職種でも、
同期の存在が心の拠り所となる方は多いでしょう。
看護師の場合は特に、
就職してからも5年くらいは明確な“学年分け”がなされるので、
同期の存在は非常に重要です。
新人の頃は研修や提出物なども多いので、
進捗状況を確かめ合ったり、
情報交換をしたりする同期の存在は欠かせません。
看護学生時代から、
10歳以上も年下の若者と共に学生生活を送る中で、
度々ジェネレーションギャップを感じてきた方なら尚更、
「若い同期とうまくやれるのだろうか?」
ということは大きな不安要素だと思います。
年齢が離れた同期とうまくやるには、
最初の“キャラ設定”が重要です。
まず、以下の2パターン、
どちらの方向性で行くかを決めておきましょう。
1.同年代になりきる
年齢差を感じさせない付き合い方をすることです。
服装から所持品に至るまで若者文化を研究し、
時には一緒に買い物に行くなどして、
徹底的に若者と同年代になりきります。
“タメ口”はもちろんのこと、
若者と同じ目線で不満を愚痴るなど、
若者特有の“未熟さ”も持ち合わせるようにします。
注意しておきたいのは、
年齢は公にしておくこと。
年齢がわからないと、“若作りの年齢不詳の人”という
不審なイメージがついてしまい逆効果です。
「本当は年上なのに、あまり歳の差を感じないよね」と
言われるレベルで充分です。
2.“年増キャラ”を前面に打ち出す
年齢差を“持ちネタ”にしてしまう方法です。
社会人経験のない若者は、
自分よりちょっと上の世代の人に対して、
「年齢のことを話題にしても良いのだろうか…」と、
微妙な気遣いをしていることが多いです。
そのような若者に対して、
「私は年齢の話題がNGではありません」
ということをアピールするのです。
お姉さん(お兄さん)的な存在となって、
時には悩みを相談されるなど、
“頼りになる存在”として仲良くやっていけるでしょう。
“年下の先輩”は、“看護師としてのスキル”だけを見て“人間性”には目をつぶる
30代の新卒の場合、
面接でも
「年下から指導されるのは大丈夫ですか?」
と確認されることがあります。
それだけ、
病院側も“年下の先輩問題”には懸念を抱いています。
この問題がうまく処理できないと、自分のストレスにもなり、
進退に関わるのです。
看護業界は、
経験年数によって明確な“学年分け”がなされているので、
30代でも40代でも他の新人と同じように扱われ、
同じようにタメ口で指導されることもあります。
この際、先輩看護師の年齢のことはスッパリ忘れて、
“看護師としてのスキル”・“看護観”など、
リスペクトできる部分だけを見るように心掛けましょう。
人生経験は少ないので、
人間的に自分より未熟なのは当然のこと。
時には、「まだまだ若いわね…」と達観視することも必要です。
実は“年下の先輩”も、
慣れない新人指導と“年上の後輩”の扱いに
戸惑っているケースが非常に多いです。
「年齢は私の方が上だけど、看護師としては後輩なので、
色々教えてくださいね」くらいのことが言えると、
お互いに気持ち良く働けると思います。
切実な“体力の問題”
一般企業にお勤めの方からすると、
看護師の業務は“ありえない”ことの連続かも知れません。
まず、“立ちっぱなし”・“動きっぱなし”。
特に午前中は、患者さんの保清ケアや
検査・処置に追われることが多く、
一度も座れないことがほとんどです。
当然、自分が水分補給する余裕もなく、
トイレにも行けないことがあります。
デスクでお茶を飲みながらパソコンに向かうような
お仕事をしていた方からすると、
とてつもなく過酷な労働に映るようです。
そして夜勤。
30代は、多くの人が体力の衰えを自覚し始める年齢だと
言われています。
20代から夜勤があるのが当然の生活をしてきた
生え抜きの看護師と違って、
30代から夜勤のある生活を始めるのは、
想像以上に身体的負担が大きいことかも知れません。
体力の問題をクリアするには、
日頃から質の良い睡眠や栄養を摂っておくことももちろんですが、
夜勤のある生活が身体的に負担だと感じたら、
無理をせず夜勤のない働き方を考えてみるのも必要なことだと思います。
自分で期限を決めて勤め上げ、
体力的に無理のない勤務形態の職場への
転職も検討してみましょう。
体を壊してしまっては、元も子もありません。
30代の新卒看護師へメッセージ、30代である“強み”を活かして唯一無二の存在になる!
“30代で新卒”と言うと、
世間では不利なことだと捉えてしまう方が多いですが、
看護の仕事においてはメリットもたくさんあります。
そんな自分の“強み”に気付くことも大切です。
まず、若い看護師に比べて、
感情コントロールが上手いこと。
看護師の仕事は、
時に自分の感情をコントロールすることが求められます。
特に患者さんとの関わりの中では、
感情を抑えければならない場面も少なくありません。
若い看護師に比べて、人生経験を積んでいる看護師は、
こういったコントロールが比較的上手にできることが多いです。
次に、
一般常識や社会的教養が身に付いていること。
社会人経験があると、
接遇面でもきちんとした対応ができるため、
他のコメディカルや患者さんからの信頼も厚くなります。
また、患者さんから見た時に、
若い看護師よりも安心感があり、
頼りになる存在となることができます。
看護技術面では他の新人と大差ないかも知れませんが、
話題の選び方やちょっとした声の掛け方などを気遣うことができるのは、
30代の強みと言えます。
患者さんにとって“話しやすい看護師さん”となることができ、
頼りにしてもらえるのは、看護師としてのやりがいにつながります。
職場選びを間違わないことが重要
他の仕事を手放し、
高い学費を払ってまで取った看護師免許。
それなのに、職場選びを間違ったために看護師の仕事を
継続できずに辞めてしまう方がいるのはとても残念なことです。
看護学校に来る求人は、
そのほとんどが若い人向けです。
しかし、今の看護業界は、
年齢的にも様々な人が増えています。
同じように30代になってから看護師を目指し、
免許を取っていきいきと働いている人がたくさんいます。
30代の新卒看護師が自分に合う職場を探すためには、
学校の求人に頼らず、自分で動いてみる必要があります。
実際に働いているスタッフの年齢構成や、
同じような社会人経験を持つ看護師がいるか、
そんな内部情報までリサーチしてくれる人材紹介会社もあります。
余計な不安を抱えずに、
自分の経歴や能力を活かしてやりがいを持って働くためにも、
人材紹介会社の力を借りて、
「ここだ!」と思える職場探しをしてみてください。