看護5S活動【応用編@】〜失敗事例から学ぶ成功の秘訣〜中堅看護師(リーダーナース・主任看護師)の取り組み方法
ツイート「5S活動」で失敗する職場は多い
近年、医療の現場でも広く知られている「5S活動」。
業務効率の向上や事故防止に繋がるとあって、「5S活動」に取り組む病院・施設が増えています。
しかし、その一方で、「5S活動」に取り組み始めたものの、計画途中にして頓挫してしまう職場も多々あります。
また、「残業の削減」などを謳って活動を始めたものの、「5S活動」によって長時間残業が生じるなどスタッフの負担になってしまい、矛盾する状況となってしまう職場も見かけます。
全員で取り組まなければならない「5S活動」は、スタッフのモチベーションを維持することも大切なことです。
「5S活動」で失敗する理由&成功への手引き
1.「整理」でつまずく。
「5S活動」に失敗する職場の多くが、初期段階、つまり「整理」の段階でつまずきます。
整理とは、「不要な物を捨てる」という段階です。
「不要な物を捨てる」というのは、一見簡単そうですが、家庭で「不要な物を捨てる」のと、医療機関である病院で「不要な物を捨てる」のとでは、そこで生じる責任が全く異なります。
まずは、そのことをしっかりと理解してから取り組みましょう。
「整理」を任されたスタッフは、常に「捨てたことの責任を追及される恐怖」を感じながら「5S活動」に臨んでいます。
まずは管理者や主任・リーダーがそのことを充分に理解し、「まだ終わっていないの?」などと、スタッフを追い詰めるような発言をしないように注意しましょう。
病棟で行う「5S活動」の「整理」には、平均して2〜3ヶ月の期間を要するものです。
1ヶ月程度で終わる工程ではないことも、充分に理解して計画を立てましょう。
2.「お片付け」の意識が抜けない。
「5S活動」はれっきとした「経営管理手法」ですが、これを単なる「美化活動」「大掃除」「お片付け」と思っている人がいます。
「お片付け」と思っているスタッフは、「5S活動」の参加に消極的で、「面倒くさい」「下らない仕事」などと思ってしまい、やりがいを感じません。
これを防ぐには、最初の導入段階でしっかりと説明会・勉強会を開催する必要があります。
具体的なコスト削減に繋がることや経営効率の改善に寄与することを伝え、「素晴らしい仕事をしているのだ」という意識を持たせるようにすることが大切です。
3.スケジュールに無理がある。
看護師の「5S活動」は、日々の業務の合間に行うことになります。
勤務時間外に行うこともあるでしょう。
過密なスケジュールを立ててしまうと、スタッフの残業が増え、真面目なスタッフは休日出勤までして「5S活動」を進めるかも知れません。
そうなると、スタッフが疲弊することで悪影響が出ます。
「5S活動」の期間は、短くても半年を想定しておきましょう。
可能であれば、日勤の勤務時間内に「5S活動」に割ける時間を設けてあげると良いでしょう。
例えば、交代制で「5S活動日」を決め、その日は受け持ち患者をつけずに「フリー」にしておいて、午前中は他のスタッフの保清ケアなどのサポートをさせます。
午後、看護師が記録をする時間に、そのスタッフには「5S活動」をさせます。
勤務時間内に活動時間を設けることのメリットは、他にもあります。
「5S活動」を勤務時間内に行うことによって、それだけ重要な仕事であるとスタッフに印象付けることができます。
4.継続されない。
「5S活動」は、半永久的に続く活動と言えます。
最初は「整理」「整頓」など変化のある作業となりますが、良い変化をもたらした後は、それを維持しなければなりません。
これが「意識付け」で終わってしまうと、時間の経過や人の入れ替わりによって継続されなくなります。
継続されるためには、「意識付け」から「仕組み」を作っていかなければなりません。
「5S活動」で、整理・整頓・清掃までたどり着いたら、その状態が維持されるように病棟の業務マニュアルやルールをきちんと改定し、システム化しましょう。
「5S活動」が成功すれば、こんな副産物も!
「5S活動」のメリットとしては、業務効率の向上や残業時間の削減、コストの削減が知られていますが、看護師の職場の場合は、それ以外にも以下のようなメリットがあります。
チームワークが良くなる。
「5S活動」は全員参加の活動です。
そのため、「5S活動」をやり遂げた部署は、それ以前よりもチームワークが良くなることが知られています。
職場が綺麗になるなど、目に見える成果が見えるため、「全員で力を合わせてやり遂げた」という達成感が、日々の業務にも良い影響をもたらします。
感染対策に繋がる。
不要なものをなくしスッキリすると、毎日の掃除がしやすくなり、自然と細かい場所への掃除も行き届くようになります。
掃除の業者が入っている場合も、掃除しやすくなることで、清潔な環境が保たれます。
看護研究にできる。
「5S活動」は、看護師の業務改善として多くの論文が書かれ、学会発表などもされています。
院内で看護研究のノルマがある場合など、れっきとした看護研究として発表することが可能です。
残業時間の削減など、数値化できるので説得力もあります。
もっと良い環境で働きたい!と思ったら看護師転職サイトに相談しよう
近年は看護部のみならず、病院全体として「5S活動」に取り組むところも増えています。
様々な無駄を省くことで、効率が良く質の高い医療を提供することを目的としています。
今よりも良い環境で働きたいと思ったら、まずは看護師転職サイトに相談してみましょう。
看護師転職サイトは、今すぐの転職を考えていなくても相談に応じてくれます。
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