看護5S活動【応用編A】〜「5S活動」ルール作りのポイントと具体例紹介〜中堅ナース(リーダー・主任クラス看護師)取組方法
ツイート「5S活動」は、最初のルール作りが全てを左右する!
「5S活動」をスムーズに進めていくためには、最初のルール作りが非常に大切です。
ルールが不充分なままに活動を始めてしまうと、なかなか作業が進まなかったり、スタッフ間のトラブルを招いたりします。
活動途中で頓挫してしまう失敗の多くが、最初のルール作りに原因があると言っても過言ではありません。
逆の見方をすれば、最初のルール作りさえしっかりやっておけば、あとはスタッフが自主的に活動を進めていけるのです。
重要な最初の「動機付け」
「5S活動」を始める前には、必ず説明会・勉強会を開催します。
そこで最初に行うのは「動機付け」です。
「動機付け」は、「5S活動」のもととなる考え方を伝え、全てのスタッフが正しい認識で活動を行っていけるようにするために必要なことです。
「動機付け」が不充分だと、「お片付け」の意識が抜けなかったり、「やらされ感」が漂い、活動に消極的になります。
説明会・勉強会では、最初に「5S活動」の概要を説明したら、すぐに「動機付け」に入りましょう。
「動機付け」のポイント
- 単なる「お片付け」ではなく、れっきとした「経営管理手法」であるということを強調する。
- 「残業時間の削減」「事故防止」など、自分たちにもメリットがあることを実感させる。
相手は大人なので、子どもにしつけるような一方的な押し付けでは全く効果がありません。
納得できる要素が必要不可欠です。
まずは「大前提のルール」を作る
「5S活動」は、整理・整頓・清掃・清潔・しつけの5項目で成り立っており、それぞれに詳細なルールを作りますが、それ以前の「大前提のルール」を作っておきましょう。
「大前提のルール」具体例
- ○○病棟の「5S活動」は全員参加の活動である。
- 全員が必ず役割を持つ。
- 他のスタッフの意見を否定しない。
- 経験年数に関係なく、全員で意見を出し合う。
- 活動のために休日出勤をしない。
- 判断に迷う場合は、主任に相談する。
「大前提のルール」は、トラブルを回避するためのルールと考えると良いでしょう。
主要メンバーで事前に予測されるトラブルを洗い出し、それらを防ぐ目的で「大前提のルール」を作成します。
例えば、「非協力的なスタッフがいる」「勝手な判断をして突っ走りそうなスタッフがいる」「残業や休日出勤を強要しそうなスタッフがいる」「若年のスタッフが意見を言いづらい風土がある」など、その職場の特性や風土に合わせて決めましょう。
「整理」のルール作りのポイント&具体例
★整理:必要な物、不要な物を分類し、不要な物を捨てる。
「5S活動」で失敗する職場の多くが「整理」の段階でつまずきます。
また、「整理」は最も責任が重く、時間のかかる工程でもあります。
「整理」のルールが曖昧だと、「捨てたことの責任を追及されるのが怖くて何も捨てられない」という状況に陥ります。
特に病院は、法律で保管が定められている書類があったり、物品の不足が生命に関わったりするため、「捨てる」ということに慎重にならざるを得ません。
そのため、「整理」のルールを作る際には、以下の点に注意しましょう。
「整理」のルール作りのポイント
- 曖昧な表現をせず、明確な内容にする。
- 「捨てる」ための根拠となるようにする。(捨てた人が責められない仕組みにする)
具体例
- 使用期限が過ぎたものは捨てる。
- 開封日を記載し、開封から1年以上経過したものは捨てる。開封日が明記されていないものも捨てる。
「整頓」のルール作りのポイント&具体例
★整頓:必要な物がすぐに取り出せるよう、置き場所・置き方を決め、表示する。
整理が終え、「必要なもの」だけになったら、その配置を決める工程に入ります。
これが「整頓」です。定位置を決め、それが誰の目にもわかるように表示をします。
医療現場は繁忙度が高いため、定位置を決めても、「今だけ」「ちょっとだけ」「すぐ使うから」と、「例外」を容認しがちです。
しかし、それを認めてしまうと、徐々に定位置が守られなくなります。
また、スタッフの異動や入退職もあるので、新しいスタッフでも一目で場所がわかるように、ネームシールなどで定位置を表示します。
「整頓」は、単なる収納技術ではありません。
動線や業務効率を考え、無駄な動きをなくすように、物品の配置を考えましょう。そのためには、現場で働くスタッフの声が非常に重要です。
「整頓」のルール作りのポイント
- 「例外」を認めない。
- 定数、物品の補充方法なども決めておく。
- 事前に模造紙などを用いてシミュレーションするのも効果的。
具体例
- 使用したら、必ず定位置に戻す。
- 表示のある場所以外に置かない。
- 定数より多く置かない。(必要であれば、ストックを置く場所も決めておく)
「清掃」のルール作りのポイント&具体例
★清掃:ゴミや汚れのない綺麗な状態にし、点検をする。
定位置に収めた物品や場所を綺麗な状態にします。
同時に点検も行い、必要なものがいつでも使用できる状態にしておきます。
「清掃」のルール作りのポイント
- 頻度や方法まで詳細に決めておく。
- 点検方法などは、マニュアルを整備する。
具体例
- 毎週◯曜日に○○の点検を行う。
- ○○の清掃はアルコール綿を使用する。
「清潔」のルール作りのポイント&具体例
★清潔:綺麗な状態を維持する。
「整理」「整頓」「清掃」を済ませた状態が常に維持されるようなシステムを作ります。
具体的には、不要物が発生しない仕組み、物品が散らからない仕組み、汚れない仕組みを作ります。
「清潔」のルール作りのポイント
- 「意識」ではなく「仕組み」を作る。(「○○を心掛ける」という表現はNG)
- 掃除しやすい環境を整えておくことが必要。
具体例
- 床にものを置かない。
- 勤務終了時は、使用したワゴンをアルコール綿で清拭し、定位置に戻す。
- 持続点滴している患者の点滴台は、火曜日と金曜日に新しいものと交換する。使用した点滴台は、アルコール綿で清拭してから定位置に戻す。
「しつけ」をスムーズに行うために…
★しつけ:決められたことを決められた通りに行えるよう、習慣づける。
「5S活動」は、半永久的に継続して行う活動です。
スタッフが入れ替わっても、その活動が継続される仕組みを作っていくことが必要となります。
社会人に対する「しつけ」は、子どもに対するしつけとは異なり、ルールだけ定めてもその理由が納得できないと守られません。
納得して初めて「実行」に移り、それが繰り返されることで「習慣」となります。
「しつけ」のポイント
- マニュアルを整備するなどして、ルールを明確化する。
- ルールを明示しておくことで、注意・指導しやすくする。(例えば、床に物を置いているスタッフがいた時に、その場に「床に物を置かない」という張り紙があった方が注意しやすい)
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