いじめ(イジメ)・パワハラ受けてる看護師が手を汚さず仕返しする方法
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実際に私の職場で起きたいじめの実態
私は16年間の看護師経験がありますが、その中で「いじめ」に関して印象に残っている出来事があります。
今回は、その事例をもとに、様々な角度から考察していきたいと思います。
ブランク明けで再就職したHさん
私が看護師8年目の頃、中途採用で経験4年目の看護師Hさんが入職してきました。
Hさんは海外旅行が趣味でした。
働いてお金が貯まると退職し、数か月単位で海外に渡航し、一人で海外周遊を楽しみ、お金がなくなると帰国して再び働く…という生活をしていました。
1ヶ月前、インドから帰国したばかりのHさんは発熱などの症状があり、検査目的で私の勤務している病棟に「患者」として入院してきました。
幸い大事に至らず、1週間程度で退院となりました。
入院中の医師や看護師の関わりに感銘を受けたHさんは「この病院で働きたい」と思い、退院するとすぐに採用試験の申し込みをして、見事採用が決まりました。
中途採用で秋に入職し、外科病棟に配属されました。
Hさんは、以前勤務した病院で夜勤をしていた頃、生理不順などの体調不良を生じたため、当院では「日勤のみ」という条件で入職しました。
経験4年目にして1年ほどブランクのあるHさんは、看護技術としては1年目と同じレベルでした。
そのため新人同様の指導が必要でしたが、良い意味でプライドの高くないHさんは常にスタッフからの指導を素直に受け入れ、年下のスタッフにも敬語で接するなど、真面目で謙虚な姿勢で仕事に臨んでいました。
O師長のいじめの標的になってしまったHさん
おとなしく控えめな性格のHさんは、スタッフにも馴染んでいきました。
同年代のスタッフとも仲良くなり、ちょっと天然キャラのHさんは医師からも可愛がられていました。
しかし、その頃から直属の上司であるO師長のHさんに対する態度が変わっていきました。
ある日、休憩中にO師長とHさん、そして他のスタッフ数名が食事をしながら話をしていました。
Hさんが寮に入っていると話すと、O師長は「あなた、夜勤もしていないのに寮に入っているの?」と、冗談めかしながらも露骨な嫌味を言いました。
食事の内容についても、Hさんのお弁当を見て「それだけ?ろくなものを食べていないわね」と、他のスタッフの前で冗談めかしながらHさんに嫌味を言うのです。
また、Hさんの仕事ぶりにも口を出すようになりました。
Hさんは、入職して間もないために業務に慣れていないことに加え、もともとの性格がおっとりしていて、仕事の仕方もややゆっくりでした。
Hさんが患者ケアのためにナースステーションを出ようとすると、聞こえるような声で「全くノロマなんだからねぇ」と、笑いながら周囲のスタッフに同意を求めるように言いました。
誰の目から見ても、HさんはO師長のいじめの標的になっていました。
O師長は、常に誰かをいじめの標的にしないと気が済まないようで、O師長の下で働くスタッフはいわば「持ち回り」でO師長の嫌味のターゲットになっていました。
既存のスタッフは、時間が経てば標的が替わるということを経験的に知っていたので、Hさんに対しても「今だけだから、あまり気にしない方がいいよ」などと声を掛けて励ましていました。
「天然キャラ」は打たれ強い!
それでもHさんは怯むことなく、毎日仕事に来ていました。
O師長から嫌味を言われても、表情を変えず「はぁ」と受け流します。
傍から見ると、Hさんは「意に介さず」といった雰囲気で、O師長の方が空回りしている印象を受けました。
O師長にしてみれば、それがまた気に食わなかったのかも知れません。
Hさんに対するO師長の嫌味・嫌がらせは、更にエスカレートしていきました。
ある時、スタッフが急に病欠になり、やむを得ずO師長がリーダーをやった日がありました。
O師長が作成した翌日の業務計画表を見て、スタッフは唖然としました。
スタッフは皆、受け持ち患者が4名程度なのに、Hさんだけ倍の8名もつけられているのです。
これは看過できないと思った先輩スタッフがO師長に「Hさんだけ受け持ちが多くないですか?」と、勇気を出して抗議しました。
しかし、O師長は「軽症の患者さんばかりよ。患者数だけで判断する方がおかしい。看護の内容で判断しなさい」と、一応は筋の通った言い訳をして、先輩も言いくるめられてしまいました。
翌日、他のスタッフは皆、Hさんの業務をサポートしました。
しかし、O師長は「手伝ってばかりだと、Hさんがいつまで経っても仕事を覚えないじゃない!」と、サポートしたスタッフにまで当たり散らしました。
Hさんは、「私の手伝いをすると怒られちゃうので、自分でできます。大丈夫です」と、淡々と8名の受け持ち患者のケアをこなしていました。
突然の「配置換え研修」、しかしこれが転機に…
O師長のHさんに対するいじめは、医師の目から見ても明らかになっていました。
それでも飄々として受け流すHさんの姿はとても健気で、Hさんは医師からも「よくやっているね」と好意的に見られていました。
しかし、それが逆にO師長の癇に障ったようです。
ある日、Hさんに「4カ月間の配置換え研修」が言い渡されました。4ヶ月間限定で手術室に行くことになったのです。
この病院では、これまで「配置換え研修」というものは存在しませんでした。
明らかなパワハラです。
Hさんは、「やっと仕事を覚えてきた時期だったので残念ですが、手術室も学ぶことがたくさんあると思うので、頑張ります」と前向きに捉えようとしていました。
周囲のスタッフは、腑に落ちないと思いながらも、O師長に対して成すすべがありませんでした。
「配置換え研修」に当たり、Hさんは部長・副部長と面談をすることになりました。
その面談の時、Hさんは、これまでのO師長の言動を部長・副部長に淡々と報告しました。
日記をつけていたというHさんは、実際のO師長の言葉を忠実に書き留めていました。
それを聞いた部長・副部長は驚いたそうですが、冷静に淡々と話すHさんの言葉に嘘はないと確信したようでした。
スタッフに行われた「ヒアリング」
数日後、Hさんと一緒に働いていたスタッフが1名ずつ「ヒアリング」と称して、部長・副部長に呼び出されました。
そこで、O師長のHさんに対する言動について尋ねられました。
スタッフは、見たままのO師長の言動を報告しました。
休憩室での暴言とも取れるようなHさんに対する嫌味や他のスタッフの前で繰り返されたHさんへの誹謗中傷、そしてそれを目の前で見ながらも何もしてあげられなかった自分の非力さや後悔を口にしました。
O師長のいじめの顛末とは…
翌月より、Hさんは「配置換え研修」として手術室に行きましたが、予定より期間が短縮され、1ヶ月でもとの病棟に戻ることになりました。
そして、O師長に「異動」が言い渡されたのです。
年度途中の師長の異動は異例のことであり、Hさんへのいじめが問題視されたことは明らかでした。
O師長の異動先は、「中央材料室」という滅菌物を管理する部署でした。
それまでこの部署には看護師がおらず、看護師の部下はいなくなりました。
誰の目から見ても「お払い箱」というのは明らかで、院内でもO師長の影は薄くなりました。
Hさんがいじめに遭った原因は何?
まず、Hさんがいじめに遭った要因としては、
- 新入職者であること
- ブランクがあること
- おとなしく控えめな性格
- 仕事が遅い「マイペースタイプ」
というもので、一般的に「職場いじめ」に遭いやすいタイプと一致します。
それでもHさんが負けなかった理由
O師長からのいじめに遭いながらも、Hさんは仕事に通い続けました。
そして、そんなHさんの姿に周囲のスタッフも陰ながら応援する姿勢を持ちました。
Hさんが周囲のスタッフを味方につけることができた要因として考えらえるのは、
- 健気に頑張っていたこと
- O師長の悪口を言わなかったこと
などが挙げられます。
最終的にHさんが「勝つ」ことができたのは何故か?
O師長の顛末については部長・副部長の影響が大きかったわけですが、誰でも闇雲に「○○さんにいじめられています」と上司に訴えれば状況が好転するわけではありません。
部長・副部長がHさんの訴えに信憑性を感じたのは、
- 詳細な記録(日記)を残していたこと
- 冷静に訴えることができたこと
が要因であり、他のスタッフの証言が決定打となりました。
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