看護師の院内研修は“仕事”ではないの?
ツイート看護師の93%が、院内研修を“無賃労働”にされている現実
看護師は専門職として「常に学び続ける姿勢を持つべし!」と言われて教育されます。
医学・看護学や医療技術は日々進歩するため、常に新しい知識を身に付ける必要があるのです。
「無知は罪」とも言われます。
看護師は、真面目で勉強熱心な人が多い職業です。
そのため、院内研修も「自分のためなのだから、自分の時間を使いなさい」という考え方が主流でした。
「勉強会や院内研修は、時間外でも残業代が出ない」というのは当たり前と考えている看護師も多く、日勤の後に院内研修に参加し、それから記録に取り掛かる…ということも珍しくありません。
このような実態は2008年頃から問題視され始め、日本看護協会が緊急実態調査に乗り出しました。
その結果、院内研修について以下のような実態が明らかになりました。
- 75.5%の看護師が時間外の院内研修に参加している。
- 月平均時間は3.8時間。
- 93%が時間外勤務として申告していない。
参考資料:日本看護協会公式HP 「労働環境の整備の推進」
https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/jikan/(2017.1.15アクセス)
全ての院内研修を時間外勤務として扱っている病院・施設は、わずか8.6%です。
このような実態を受け、日本看護協会では、「院内研修は可能な限り、勤務時間内で実施するのが基本」と明文化しました。
更に、勤務時間外の研修については「業務」か「自己研鑽」のどちらとして扱うのか明示するべきだとしています。
「自由参加」=「自己研鑽」ではない!院内研修のルールを正しく理解しよう!
「強制参加」とは言われていなくとも、何となく休みづらい院内研修や勉強会もあります。
こういった風潮に関しても、日本看護協会はきちんと明文化しています。
「形式的には自由参加でも、参加しないと業務遂行に具体的な支障があったり、個人の評価に影響する場合には、実態として自由参加とは言えないとみなされる。」
つまり、強制とは言われていなくとも、不参加だと「どうして来なかったの?」と言われるような研修は、実質上の「強制」であるということです。
労働時間とみなされる院内研修
日本看護協会の見解では、以下のような院内研修は「労働時間」とみなし、賃金の支払いが必要だとしています。
- 研修教育の内容が業務そのものか、業務と密接に関連するものである。
- 強制参加か、名目上「自由参加」でも、不参加で何らかの不利益措置がある。
- 労働安全衛生に関する教育。
これを噛み砕くと、以下のような研修が「労働時間」としてみなされることになります。
1.業務遂行上必要な指示・伝達を含み、実質的には組織的に受講が必要な研修
部署内の事例検討会、新たな医療機器の取り扱い説明会、電子カルテの説明会など。
2.具体的な教育・育成計画に基づき、該当者全員に受講させる研修
新採用者研修、〇年目研修など。
3.組織内で特定の職責や役割を担わせる前提で、必要な知識・技術・能力等を供えさせるための研修
リーダー研修、プリセプター研修、臨床実習指導者研修など。
4.安全・衛生に関する教育・訓練
医療安全講習、感染対策講習、防災に関する講習など。
これらの院内研修については、業務として扱うべきだとしています。
業務として扱う院内研修は、業務として参加を指示し、時間外に行うのであれば時間外勤務手当を支給することが必要となります。
院内研修で休みがほとんどなくなってしまうことも…
看護師は不規則なシフト勤務のため、病棟であれば全員が同じ条件で揃う日というのはありません。
つまり、「全員参加」は実質不可能な職場です。
しかし、夜勤明けでも夕方の研修に出て来たり、休みの日でも病棟の勉強会に出席している看護師というのは珍しくないのです。
多いところだと、このような研修・勉強会は月に4~5回行われています。運が悪いと、月に数日の休みを研修などで潰されることになります。
いくら勉強熱心でも、このような職場で毎回休みを潰されてしまうようでは、健康にも害を及ぼします。
近年、徐々に対策が講じられるようになってきており、医療安全講習など全員参加の院内研修は、当日参加できない人のためにDVDによる受講をできるようにしたり、昼休みに開催して勤務時間内に終わらせるような工夫をしている職場も増えてきています。
部署内での勉強会・事例検討会やチーム会はローカルなものなので、看護部長もその現状を把握していないことがあります。そのため、対策が遅れている職場も少なくありません。
ローカルな情報を得るにはどうしたら良いのか?
近年は、多くの病院のHPに看護部のページがあり、その中に院内研修や教育制度について詳しく書かれています。
しかし、部署内の勉強会やチーム会などの、いわゆる“ローカル”な情報については、残念ながら入職してみないと知るすべがありません。
また、これらの開催頻度や雰囲気は部署によってもかなり差があるため、実際に働いている人でも、他の部署の事情はわからないこともあります。
看護師転職サイトでは、本来は入職しないとわからないような詳細な内部情報までしっかりとリサーチして情報提供してくれます。
実際の残業時間や病棟の勉強会の頻度など、本当に知りたいことを調べてくれます。
「こんなはずじゃなかった」とギャップを感じる前に、看護師転職サイトでしっかりと情報収集しておきましょう。