看護師転職の面接の「困った質問」の意図と回答例。採用時面接でこんな質問をされたら?
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まずは、面接官の立場から…
私は国公立の大学病院で副看護師長の職位についており、新採用者の面接に同席することもありました。
面接というのは、「受ける側」が緊張を伴うのはもちろんのこと、実は「面接官」も緊張しています。
というのも、面接は、たった15分程度で、その人の人間性・仕事に対する姿勢などを見極めなければならず、面接官の責任は重大です。
そのため、「受ける側」が様々な準備をするのと同様に、「面接官」も様々な準備をして臨んでいます。
「志望動機」や「看護観」は、既に答えを準備してきているケースが多いので、正直なところ、面接官はこの質問をあてにしていません。この質問に「優等生」な答えが返ってくるのは、当然だからです。
面接官は、その人の本性を暴くために、「答えを準備していないであろう質問」をぶつけたいのです。
そのため、「受ける側」からしたら、答えを準備していない「困った質問」をされることがあるのです。
裏を返せば、「困った質問」こそ、真の面接であると言えます。
「困った質問」を制することで、面接を制することができるのです。
「困った質問」を制するには?
「志望動機」や「看護観」などは、既に答えを準備して面接に臨んでいると思います。
それ以外のことを聞かれても落ち着いて答えられるように、リラックスして臨みましょう。
面接でリラックスするには、面接官を「敵」ではなく、「味方」と思うようにしましょう。
それだけで、驚くほど緊張が解れます。
「困った質問」面接官の意図と回答例
答えに詰まってしまう質問や「どうしてこんなことを聞くのだろう?」と不思議に思う質問があります。
その具体例と、その質問をする面接官の意図、そして回答例を紹介します。
これらは近年、経験者の面接でよく聞かれる質問です。
「仕事での失敗」という場合は、看護業務以外の委員会や係業務、指導場面での失敗談を出しても構いません。
また、実際の患者に関わるインシデントを話す場合、あまりにもヘビーなものは避けましょう。
面接官の意図&チェックするポイント
- 過去の失敗を客観的に振り返り、そこから学びを得られているか?
- 経験年数に応じた失敗談が出てくるか?
例:1年目であれば、対患者、対先輩などの失敗談。
ベテラン層であれば、指導場面における失敗談など。
- 具体的で簡潔にまとまっているか?
- 失敗に気付かないタイプや自分のミスを他人に押し付けるタイプでないか?
- 失敗や指導を素直に受け入れることができる人か?(「怒られた」という言葉はNG。「注意を受けた」「指導を受けた」はOK)
OK回答例
「外科病棟に勤務していた1年目の時、内服薬の処方が切れる患者さんがおり、主治医が手術中だったので、手術が終わってから確認しようと自己判断してしまったことがありました。先輩から、そのような場合は主治医以外の医師に相談して処方をもらうべきであると指摘され、急遽処方してもらいましたが、朝の内服時間がずれたことで、その日一日の患者さんのタイムスケジュールをずらしてしまうことになりました。自分では緊急性のある薬ではないと判断してしまいましたが、患者さんの生活ということが頭から抜けていました。それ以来、常に患者さんの生活を大切に考えて行動するようになりました」
NG回答例
「失敗はありません」→失敗に気付かない人だと思われる。
「医師の字が汚くて、薬を間違えたことがありました」→人のせいにする印象を与える。
「○○して先輩に怒られたことがありました」→「怒られた」はNG。
嫌な出来事を自分でどのように克服したのかを聞いています。ただ、不満や恨み言を聞いているわけではないので、注意しましょう。
- 面接官の意図&チェックするポイント
- 自己分析力があるか?
- コミュニケーション能力があるか?
- 嫌な出来事を自分なりに解決・克服に導く方法を持っているか?
OK回答例
「入職したての頃に、医師からナースステーションで大声で叱られたことがありました。私も感情が昂ってその場で泣いてしまい、その場にいた師長に休憩室で話を聞いてもらいました。それを機に、仕事で注意や指導を受けたことを感情的に受け取っていた部分があったと気付かされ、それからは仕事上の注意と感情を別々に考えることができるようになりました」
NG回答例
「苦手な先輩に嫌味を言われたことです」→ただの不満で終わっている。
「給与が安く、もっと正当な評価をして欲しいと思っていました」→給与や休暇など労働条件に関する不満は避けた方が良い
「志望動機」や「看護観」などの畏まった質問の答えは準備してきたけれど、「趣味」や「芸能人」について質問されると、「???」と、質問の意図を図りかねることが多いです。
面接官の意図&チェックするポイント
- ストレス耐性についてのチェックである。
- 仕事以外に夢中になれることを持っている方が、気分転換を図りやすく、ストレスを溜めにくい人だと判断される。
- 面接中の緊張を解す目的で、面接官が聞いている場合もある。
OK回答例
面接官の年齢などを考慮して、わかりやすい趣味などを言うと良いでしょう。スポーツや読書、映画鑑賞などが無難です。
NG回答例
趣味や好きな芸能人について、ベラベラと喋るのはやめましょう。聞かれたことだけ答える程度で良いです。
また、このような質問をされた時に、苦笑いや冷笑を浮かべる人がいますが、それは心象を悪くします。表情にも注意しましょう。
また、「分かりにくい趣味」や「誤解を招きやすい趣味」には注意しましょう。
例:「サバイバルゲーム」「政治・宗教に関連する活動」「動画投稿」「ブログ」などは避けた方が無難です。
この質問は、答えを準備していない面接者が多く、本性が見えやすい質問と言われています。
面接官の意図&チェックするポイント
- その人が大切にしていることがわかる。
- 常識的な人間かどうか?
OK回答例
「挨拶をしっかりするように言われました」「人に迷惑をかけないようにと言われて育ちました」など、常識的な範囲のことであればOKです。
NG回答例
「何でも一番になれと言われました」→協調性のなさを感じさせるのでNG
この質問は、世間に対する関心の高さや自分の意見をしっかり述べられる人間だということをアピールする「自己PR」のチャンスです。
社会問題の他、趣味に関することでも構いませんので、自分の意見をしっかりとわかりやすく述べることが大切です。
面接官の意図&チェックするポイント
- 自分の意見をしっかりと言えるか?
- どんなことに関心を持っているのか?
- 人柄や柔軟性を見極めている。
OK回答例
社会問題を取り上げると良いですが、そのためには、その問題を正しく理解していることが大切です。
日頃から新聞を読む習慣をつけましょう。医療問題を取り上げるのも良いです。
自分の意見をしっかりと組み込みましょう。
NG回答例
芸能ニュースはNGです。思い浮かばないのもNGです。
意表を突かれる質問も多いです。
地域密着型の病院の場合、この他にも「○○市の人口は何人ですか?」「○○市は何本の川が流れていますか?」などの質問をされるケースがあります。
面接官の意図&チェックするポイント
- 病院周囲の土地勘があるか?
- 地元愛を問う
- 柔軟性、咄嗟の対応力のチェック
OK回答例
わかる場合はそのまま答えればOKです。
土地勘がなくわからない場合は、正直に「申し訳ありません、わかりません」と答えましょう。
NG回答例
「えっ」と、固まってしまうのはNGです。
このような質問に対して、苦笑いや冷笑を浮かべる人がいますが、心象を悪くするので、表情にも気を抜かないようにしましょう。
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