看護師の「夜勤問題」…約2万人の看護師が過労死レベル!?今すぐにできることから取り組もう
ツイート約2万人の看護師が「過労死レベル」という非常事態
近年、看護師の夜勤の負担が問題となっています。
看護師の夜勤が心身に負担であることは昔から言われていましたが、最近になり、夜勤をしている人は優位に発がん性が高いことなどが指摘され、強く問題視されるようになりました。
また、2008年に2名の現職看護師の死亡が労災認定されたことも大きく影響しています。
病院に勤務する現職看護師のうち、約2万人が「過労死レベル」にあるとも言われています。
看護師の夜勤負担軽減は、急務なのです。
ガイドラインは策定されたけれど…
2012年、日本看護協会による『看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン』が策定されました。
この中で、看護職の健康・安全・生活への影響を少なくする観点から、「拘束時間は13時間以内とする」としています。
長時間労働による心身の疲労やそれに伴う医療安全への影響を考えた上で設定された「上限時間」ということです。
しかし、このガイドラインに法的拘束力はなく、診療報酬算定要件にもなっていません。
そのため、努力目標のような形になっているのが現状です。
2交代勤務の職場の場合、夜勤の拘束時間は16時間以上という職場がほとんどです。残業をすると、18時間を超えることもあります。
しかし、夜勤時間の短縮というのは、容易なことではありません。
勤務編成を変更するということは、かなり大掛かりなシステム変更を伴うため、年単位での計画が必要です。
「体に悪いのはわかっているけれど、どうしようもない」というのが、多くの病院の本音なのではないでしょうか。
夜勤時間が短縮できない場合の代替措置
ガイドラインでは「12時間夜勤」を理想としていますが、多くの2交代の病院では、12時間夜勤を実現するには大幅な勤務編成の変換が必要です。
職場側としては、「今すぐには無理」と言っても、心身に悪影響を及ぼすことをわかっていながら長時間の夜勤勤務を強いるのはいかがなものか…というジレンマがあると思います。
そこで、ガイドラインでは、すぐに夜勤時間を短縮できない場合の代替措置についても言及しています。
それは、以下の通りです。
- 2時間以上の充分な仮眠時間の確保
- 充分な休日の確保
- 6時間を超える拘束の禁止(=夜勤の残業禁止)
これらの実現も簡単なことではありませんが、勤務編成を変更するよりは取り掛かりやすく、それぞれの部署の采配でも実践可能です。
夜勤の負担を減らすために、看護師ができること
夜勤時間の短縮は病院レベルでの取り組みとなりますが、夜勤者の負担を減らすための取り組みは、「時間短縮」だけではありません。
各部署レベルで取り組めることもあります。
まずは、各部署で取り組めることから実践してみましょう。
1.夜勤業務のスリム化
いまだに、夜勤を「日勤の準備者」と位置付けている病院もあります。
日勤帯で使用する点滴を夜勤者が準備したり、救急カートや包交車の点検を夜勤者が行うなどです。
もともと、看護師の業務は日勤帯が最も繁忙度が高いため、これらの慣習ができたものと思われます。
しかし、夜勤は、何もしなくても「起きている」ということ自体が負担である勤務帯です。
明け方には疲労感からミスを誘発することが多いことはデータでも証明されており、そのような時間帯に点滴などを準備させるのは、ミスを自ら増やしているようなものです。
そのため、夜勤の業務は、「夜勤帯でなければ絶対にできない業務」のみにすべきです。
日勤者のための準備や、どの時間帯に行ってもよい点検作業は、夜勤の業務にしないようにしましょう。
「夜勤でなければ絶対にできない業務」とは、以下のものが挙げられます。
- 時間が決まっている薬剤の投与
- イブニングケア
- 持続点滴の管理
- 排泄介助
- 体位変換
夜勤帯は、ただでさえ少ない人数で多くの患者を看なければなりません。
ナースコールの対応に追われることもあり、できるだけ夜勤の業務を減らしておくことで、余裕を持って業務に当たれるようにすることが、看護師のためでもあり、患者のためでもあります。
夜勤業務をスリム化することで、身体的な負担が減り、休憩時間も確保できるようになります。
2.夜勤記録の簡易化
看護師の残業の大半が「記録」です。
特に、夜勤帯は看護師一人当たりの受け持ち患者数が多くなるため、勤務時間内に記録できないと、長時間の残業をすることになります。
夜勤後の残業は、疲労感と眠気から集中力も低下するため、非常に効率が悪くなります。
そのため、夜勤帯の記録を簡易化することがおすすめです。
特に、長々と記録を書く慣習のある病棟は、夜勤の記録時間を調査し、記録内容を見直しましょう。
夜勤帯の看護記録は、本当に必要な情報だけに絞ります。
クリニカルパスを導入したり、変化のない患者の記録方法を統一して簡易化するなど、無駄な記録時間を省きましょう。
3.申し送り方法の見直し
夜勤者が、勤務時間終了と同時に退勤できるようにするためには、申し送り時間を早めに設定することが効果的です。
少なくとも、夜勤終了時間の30分前には申し送りが終了しているようにしましょう。
そうすることで、余裕を持って申し送りをすることができ、「やり残したことはないか?」などと不安になることなく、安心して退勤することができます。
4.夜勤者を早く帰す風土作り
夜勤者の残業をなくすのに最も効果的な方法かも知れません。
日勤者が一丸となって、夜勤者から積極的に業務を引き継ぐ風土を作ります。
夜勤者が何かしようとしたら、「私がやるから、夜勤さんは帰って!」と、促すのです。
風土を変えるということは簡単なことではありませんが、まずは管理者やリーダークラスの看護師が率先してそのような態度をとっていきましょう。
それによって「助かった」「早く帰れて良かった」と感じたスタッフに徐々に浸透し、気が付くと病棟の風土として定着するはずです。
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