初めての看護師の転職でついに迎えた採用試験。筆記試験・小論文の作文テスト＆面接を受けた感想。
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自力で臨んだ採用試験
T大学病院の、
採用試験の日程が、
知らされて初めて、
「試験対策」を、
何もやっていないことに気付いた私。
「筆記試験60分」と、
「小論文60分」とは、
どういうものなのか？
全く見当もつかない私は、
「筆記試験は、
現場経験もあることだし、
何とかなるだろう」
と高をくくり、とりあえず、
「小論文」の対策を、
講じることにしました。
小論文は、
看護学校の入試以来のことです。
本屋で、「小論文の書き方」
といった参考書を購入し、
復習しました。
それに加え、
最近の医療・看護情勢を、
把握しておかなければならないと思い、
病院の図書室で、
最近の新聞や看護雑誌に、
目を通しました。
概論的なことも、
必要かも知れない…
と思い、
ナイチンゲールやロイなどの、
看護論も読みかじりました。
毎日のように、病
院の図書室に通う私を、
周囲は、
「何だか最近、
やる気があるね」
といった目で見ていました。
仕事をしながらの「試験対策」は、
充分な時間を割くことが、
できませんでした。
そんな不安に駆られた時は、
「仮に採用試験に落ちても、
受けることさえ、
誰にも言っていないのだから、
恥をかくことはない」
と、開き直ったりしました。
採用試験当日
採用試験は、
午後1時から行われることに、
なっていました。
受付で、
「採用試験を受けに来ました」
と告げると、
事務員が会議室まで、
案内してくれました。
さほど大きくない会議室に、
通されると、
既に1名が着席しており、
こちらを見て会釈しました。
「こちらでお待ちください」
と事務員は出て行き、
私はもう1名の応募者と会議室で、
二人きりになりました。
しーんとした会議室で、
待たされながら、
手持ち無沙汰にしていると、
もう1名の方が、
「緊張しますね」
と声を掛けてきました。
その方は、
30代半ばくらいの女性でした。
「そうですね」
と差し障りのない相槌を打つと、
彼女は、
「筆記試験って、
何が出るんでしょうね？」
と言いました。
この人も筆記試験の対策は、
していないということか…
と、私は彼女に、
一方的な親近感を抱きました。
「私も何にもやってなくて…」
と答えると、
彼女は、
「とりあえず頑張りましょうね」
と言いました。
彼女は私よりも、
明らかに年齢は上でしたが、
低姿勢で優しい印象の方でした。
間もなく午後1時になろうという時、
先程の事務員に連れられて、
私より若い、
男性の応募者が入ってきました。
彼は私たちを見て、
「よろしくお願いします」
と照れながら挨拶をしました。
私たちはコソコソと、
「試験って、何が出るか知ってますか？」
と彼にも探りを入れました。
彼は、
「僕も何もわからなくて…」
と話し、
私たちはお互いに、
ちょっとした仲間意識を感じ、
自然と緊張がほぐれていきました。
そんなアットホームな雰囲気の中で、
ついに採用試験が始まりました。
この日の受験者は3名でした。
副看護部長が、
「じゃあ、筆記試験を始めますね」
と言って、
緩やかな感じで、
試験が始まりました。
筆記試験は、
点滴の滴下計算と褥瘡の、
好発部位を記載するもので、
60分という時間が大幅に余りました。
「試験」と言われて、
意気込んでいた私たちは、
ちょっと肩透かしを食らったような気分で、
時間が過ぎるのを待ちました。
次に「小論文」の時間になりました。
テーマは「個人情報保護について」という、
非常にざっくりしたもので、
私はその頃ニュースで話題になっていた、
「外来患者を番号で呼ぶことの是非」について、
自分の意見を論じました。
「小論文」も60分と言われていましたが、
制限時間が近づくと、
副看護部長が、
「もう少しで60分になりますが、
もっと時間が欲しいですか？」
と私たちに尋ねました。
私は書き終わっていたので、
どちらでも良かったのですが、
30代の女性の方が、
「もう少し欲しいです」
と応えました。
すると副看護部長は、
「じゃあ、あと10分延長しますね」
と言い、
10分後に再度、
「もう大丈夫ですか？」
と聞きました。
彼女が「大丈夫です」と応えると、
小論文は終了しました。
「採用試験って、
こんなにアバウトな感じなのか…」
と、私は気合いが、
空振りしたような気分で、
回収される解答用紙を、
見つめていました。
しかし、
そこで気付いたのです。
筆記試験がアバウトだということは、
面接が重要視される！
ということに…。
緊張の面接
ついに面接の時間になりました。
私は3番目だったので、
最後まで緊張を強いられました。
ドアの向こうから「どうぞ」と呼ばれ、
「失礼します」と中に入ると、
看護部長、副看護部長、事務長の、
3名が並んでいました。
最初に口火を切ったのは、
副看護部長で、
「まず、お聞きします。
どうしてA大学病院を、
辞めようと思ったのですか？」
と、かなり痛いところをついてきました。
しかし、
ここは準備していた答えがありました。
「感染の分野に興味があったので、
先日、こちらの病院を見学させて頂きました。
その際、認定看護師のKさんと、
お話する機会を設けて頂き、
非常に感銘を受けました。
感染管理の分野で、
先進的な取り組みをされている、
こちらの病院で、
自分も働きたいと思ったからです」
ことさらに、
「嫌で辞めるわけではない。
こちらの病院で、
どうしても働きたいから辞めるのだ」
ということをアピールしました。
転職時の面接の常套手段です。
次に、看護部長が、
「あなたは今7年目ですが、
リーダー業務はしていますか？」
と聞いてきました。
「はい」と答えると、
「リーダーの役割というのは何だと思いますか？」
と聞いてきました。
「個々のスタッフの能力を見極め、
その能力に応じたサポートをしたり、
指示を出すことだと思います」
と、私が教科書を、
諳んじるように答えると、
看護部長が大きくうなずき、
私はちょっとホッとしました。
最後に事務長が、
「もし、
1月から来て欲しいと言ったら、
それは可能ですか？」
と、こちらが予期せぬ質問を、
ぶつけてきました。
私は年度末での退職、
そして4月からの入職を考えていました。
A大学病院は、
他の多くの大学病院と同じように、
原則年度途中での退職を、
認めていません。
それでも強行して、
退職することは可能なのでしょうが、
何となくそれは気が引けました。
「いつからでも来れます」と言った方が、
採用される確率が高いのかも知れませんが、
やはり年度途中での退職は、
現実的でないと即座に判断した私は、
「いえ…、それは無理です」
と正直に答えました。
すると、事務長は表情を変えずに、
「そうですか」
とだけ言い、
面接は終わりました。
結果は1週間後に、
郵送とメールで知らされることになり、
私の試験＆面接は終えました。
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