「病棟以外」の業務改善のヒントと事例|外来・手術室・検査室に勤務する看護師向け
ツイート「病棟以外」に業務改善のネタが少ないワケ
リーダー研修などで、「業務改善」のノルマを課せられている中堅看護師は多いと思います。
中堅看護師というと、管理職ではないので、大掛かりな業務改善はできません。
スタッフナースでも手を付けられる分野での活動になります。
看護雑誌などで「業務改善」をテーマにしたものをたびたび見かけますが、その多くは「病棟」を舞台にしたものです。
どうやら、「病棟」には業務改善のネタがゴロゴロ転がっているようですが、外来・手術室・検査室など「病棟以外」の部署となると、「スタッフにもできる業務改善」のネタは激減します。
病棟は看護師の数が多く、看護師が「中心的存在」となっています。
看護師の裁量で物品の場所を変えたり、何かの手順を変更しても、看護師にさえ周知しておけば良いことがたくさんあります。
しかし、外来・手術室・検査室は、看護師以外にも医師・検査技師・事務員…など、様々な職種が連携して業務をしています。
そのため、看護師の一存で変更できることが少なく、まして管路職でもないスタッフナースが手をつけらえる場所というのは限られてしまうのです。
「病棟以外」の部署で業務改善をするメリット
しかし、業務改善をする上で、外来など「病棟以外」の方が恵まれている部分もあります。
まずは、外来などは夜勤がないため、ほぼ毎日全てのスタッフが揃います。
そのため、細かなことでも周知しやすく、常に自分の目も届きます。
病棟の場合、交代勤務のため、自分が不在の日には取り組みがなされていなかったり、周知するのに時間がかかることも多いです。
また、多くの人を巻き込みやすいのもメリットです。
病棟よりも、日頃から他部署・多職種との接点が多い外来・手術室・検査室では、他部署を巻き込んだ業務改善にも取り組みやすく、大きな成果も期待できます。
スタッフナースが取り組む業務改善事例
1.外来の場合
改善のテーマ
看護師のプレ問診による外来診療の効率化
現状と問題点
当院の外来には、1日当たり500名程度の患者が受診している。
そのうち約7割が予約受診となっているが、予約時間通りに診察できていないのが現状である。
また、予約外の患者もおり、待ち時間が長時間化し、外来診療時間内に診療が終わらないことも多い。
体調不良の患者に気づくのが遅くなり、緊急入院が時間外となることもある。
期待する成果
医師の診察に呼ばれる前に、患者が来院後、なるべく早いタイミングで看護師によるプレ問診を行う。
それにより、体調不良の患者に早期に気づくことができ、素早い対応が可能となる。
また、患者も、医師の診察前に看護師との会話の中で情報を整理することができ、スムーズな診察に繋がる。
他院を受診している患者であれば、他院で処方された薬などを事前に把握しておくこともでき、よりスムーズに診察ができる。
更に、患者と看護師の関わりが増えることで、患者も看護師を身近な存在として認識でき、相談しやすくなる。
様々な問題の早期発見にも繋がることが期待できる。
改善策
プレ問診シートを作成し、自分の担当ブースの患者に対し、問診を行う。
プレ問診シートは、作成後、外来医長の○○医師に確認してもらい、許可が出たら、他の外来診療医にも周知してもらう。
初診の患者に対しては、必ずプレ問診(主訴・経過・既往歴・今回の主訴についての受診歴・アレルギーの有無)を行う。
その際、身長・体重・バイタルサインも測定し、カルテに記入する。
予約の定期受診の患者については、可能な限りプレ問診を行う。
前回受診時に問題があった患者や、治療法・薬が変更になった患者に対しては、優先的にプレ問診を行う。
プレ問診シートは、カルテの最新ページに挟み、医師と情報を共有する。
解説
外来看護師の役割を強化する内容となっています。
スタッフナースが取り組む業務改善の場合、コストをあまりかけることができませんが、ちょっとした工夫で大きな効果が期待できます。
外来など、様々な職種が出入りする部署で、看護師主導の業務改善を成功させるコツは、どの職種にとってもメリットが感じられる内容にすることです。
この「プレ問診」は、診療がスムーズに行えることで医師にもメリットがあり、時間内に診療が終えることができると事務員の残業も削減できます。
また、緊急入院が時間外になると、病棟にも負担をかけますが、それを防ぐことでさらにメリットが広がります。
もちろん、患者にとっても医療の質が向上し、待ち時間が減るというメリットがあります。
2.手術室・検査室の場合
改善のテーマ
滅菌物の定数化による業務時間削減
現状と問題点
手術室(検査室)では、滅菌された医療器材の管理をすべて看護師が行っている。
午後3時までに当番の看護師2名で、滅菌物の在庫を数える。翌日の手術(検査)予定表と照らし合わせ、不足する物品があれば、その都度臨時請求をかけている。
この作業には1時間程度を要している。
期待する成果
滅菌物をすべて定数化して管理することで、看護師の作業時間を短縮する。
従来、2名の看護師で1時間かかっていた業務をなくすことで、その分の人手を術前訪問などに回すことができる。
また、定数化することで、事前に不足する物品を把握することができ、計画的に請求できる。
改善策
これまでの手術件数の記録から調査を行い、滅菌物の定数を決める。
滅菌物の保管棚を区分けし、物品名と定数を表示する。
中央材料室と話し合いの場を設け、自動的に不足分(=定数―在庫)の補充をしてもらうシステムに切り替える。
解説
定数化・標準化は、業務改善の主たる技法です。
特に、病院では、役割分担が決まっていない業務は看護師の業務になりがちです。
結果として、看護師の残業時間が長時間化してしまうのです。
定数化・標準化することで、看護師でなくてもできる業務になります。
その分、他のケアに看護師を投入でき、医療の質向上に繋がり、残業時間の削減にも繋がります。
働きやすい職場は看護師転職サイトで探そう!
看護師転職サイトは、雇用条件だけでなく、本来なら入職してからでないとわからないような詳細な内部情報まで事前に知ることができます。
人間関係や実際の残業時間など、一番気になることを知ることができるので、後悔しない転職ができます。
転職を考えたら、看護師転職サイトに相談しましょう。