看護師のための「失敗しない業務改善」の進め方
ツイート看護師は「業務改善」に振り回されていない?
「業務改善」という言葉は看護師業界に限った用語ではありませんが、看護師は特に「業務改善」が好きな気がします。
「好き」というよりは、「振り回されている」「縛られている」と言った方が腑に落ちるかも知れません。
普通、業務改善というのは、必要に応じて取り組むべきものですが、看護師業界においては、「業務改善」は「せねばならぬもの」。
「業務改善委員会」が存在する病院も多く、「業務をより良くすること」よりも「業務改善すること」が目的となっている節があります。
また、リーダー研修などで「業務改善」をすることが課題とされ、不必要な業務改善に乗り出すケースもあります。
時として、業務改善したがためにより働きにくくなってしまう光景も目にします。
それまで誰も困っていなかったことに中途半端に手を付けて、余計複雑にしてしまうのです。
また、業務改善のために、長時間残業や休日出勤をしているといった矛盾も生じています。
そこで今回は、今一度「業務改善」の基本に立ち戻り、それを踏まえた「失敗しない業務改善」について解説していきます。
そもそも業務改善の目的とは?
業務改善の本来の目的は、以下の3つです。
- クオリティアップ=看護の質向上
- コストダウン=経費削減・残業削減
- スピードアップ=タイムリーなケアの提供・残業削減
これらの目的が果たせないのであれば、手間のかかる業務改善などしない方が良いです。
業務改善のために業務が増えて、スタッフが疲弊してしまい、日常業務の効率低下や離職に繋がるだけです。
業務改善に取り組む際は、上記の目的を達成できるのか?ということをじっくり検討してからにしましょう。
業務改善の進め方
業務改善が必要だと感じたら、以下のステップで進めていきます。
1.問題点を明らかにする
業務改善が必要と感じたことの現状を正しく把握し、問題点を明らかにします。
例えば、「業務が時間通りに終わらない」ということが問題だと感じたら、現状の残業時間を調査します。スタッフの時間の使い方なども詳細に調査します。
必要であれば、スタッフの意識調査なども行います。
その上で問題の本質を明らかにします。
2.目標設定
目標設定は具体的にします。
例えば、「残業時間を月〇時間削減する」「○○に関するミスを前年度の〇%に減らす」など、数値的な目標を立てられるのが理想です。
患者やスタッフの満足度や意識を図るのであれば、アンケートなどを作成し、これも数値化します。
3.改善策立案
改善策を考え、有用性や実現性について検討します。
上司とも相談しながら進めます。
4.試行期間
立案した改善策を、現場で実施します。
実施前には、部署会などでその目的や意図をスタッフにきちんと説明し、理解を得ます。
試行期間を設定し、その期間が終えたら、一度評価します。
試行期間は妥当性のある期間を設定しましょう。
例えば、残業時間を評価するのであれば、1〜3ヶ月程度の期間が必要です。
スタッフの意識に働きかける(意識調査を行うもの)のであれば、更に長い期間での評価が必要です。
ここを端折って短期間で無理に評価してしまうと、業務改善は成功しません。
5.評価・見直し
試行期間を終えたら、成果を評価します。
必要であれば改善策を練り直し、再度「試行期間」を経て評価します。
6.改善策導入
試行・評価を経て、本格的な導入に入ります。
導入後もそのままにせず、期間を置いて改善策導入後の効果を評価しましょう。
このプロセスを端折ると業務改善は失敗する!
業務改善は上記のプロセスを経て導入すべきですが、看護師業界では、これらのプロセスをすっ飛ばしていきなり「導入」に入ってしまう職場をしばしば見かけます。
1.「問題点を明らかにする」のプロセス
問題点を明らかにせぬまま、「勢い」や「勘」だけで業務改善に踏み切ることのないようにしましょう。
また、看護師業界は看護雑誌などに掲載されている「流行」に左右されて業務改善に踏み切る職場も多いです。
近年の流行だと、「5S活動」や「FISH」など話題性の高いものが挙げられますが、自分の職場に合っているか?良い効果があるか?ということをじっくり吟味してから導入しましょう。
2.「目標設定」のプロセス
目標設定が曖昧なまま業務改善を進めてしまうと、ゴールが見えず、常に業務改善している職場になってしまい、本来のルールや決まりごとが守られなくなったり、忘れられたりします。
ゴールと期間をきちんと設定してから始めましょう。
3.「改善策立案」のプロセス
改善策は、思い付きでなく、様々なデータや情報収集をして、吟味してから決めましょう。
また、有用性があるかどうかをシミュレーションすることも大切です。
理想ばかりを追い求めると、実際の業務の中では実践不可能なこともあります。
スタッフにきちんと受け入れられるのか?実践可能か?ということも考えましょう。
4.「試行期間」のプロセス
研修課題などで業務改善に取り組むと、スケジュールがタイトになり、試行期間が端折られがちです。
しかし、試行期間は、評価をするためのとても大切なものです。
「どうせ導入するんだから」と高を括らず、「本当にこの方法で効果があるのだろうか?」「この方法で問題は起きないだろうか?」と、常に疑いながら慎重に評価することも大切です。
5.「評価・見直し」のプロセス
きちんと目標を達成できているか?という視点で評価します。
結果が芳しくない場合は、思い切って元の方法に戻すという英断も必要です。
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