精神科の看護師は大変!?精神科・閉鎖病棟の夜勤の実態や人間関係、気になる噂を男性看護師Gさんにインタビュー
ツイート昔はネガティブなイメージもあった精神科・閉鎖病棟ですが、近年は「心の病」への世間の関心・理解も深まりつつあり、看護師の中にも精神科看護に興味を持つ人が増えています。
昔から精神科病院は「お給料が高い」とか「変わった医者が多い」など、看護師業界では様々な憶測や都市伝説が飛び交っています。
今回は、精神科病院の閉鎖病棟に勤務して6年目の男性看護師Gさんにお話を伺います。
まず、Gさんの勤務する職場の概要を紹介して頂けますか?
首都圏の郊外にある精神科病院です。診療科は精神科の他、神経科、心療内科、リハビリテーション科があります。
入院患者さんのみを対象とした内科もあります。
病床数は約300床です。病棟は7つあります。私が勤務しているのは、薬物依存の患者さんを主とした閉鎖病棟です。薬物依存症の治療プログラムをやっている病棟です。
就職先にこの病院を選んだ理由を教えてください。
以前は、総合病院の整形外科病棟に2年間勤務していました。
その職場は、男性看護師が私だけで、何かと不便に感じることが多くありました。
上司や先輩も女性ばかりで、もっと男性の先輩や同僚がいる職場で働いてみたいと思っていました。
精神科は、比較的男性看護師が多いので、一度働いてみたいと思っていました。
精神科は、学生時代に実習に行っただけで全く知らない分野だったので、研修などの制度が充実しているこの病院に就職を決めました。
あと、私が就職した頃は、採用が決まると「引っ越し資金」として10万円支給される制度がありました。1年間勤務すれば、返済しなくて良いというものでした。
看護師寮はありませんでしたが、住居手当が出ることと、車通勤ができるという点にも惹かれました。
精神科病院は、辺鄙な場所にあることも多いので、車通勤できる方が何かと便利だと思いました。
新しい分野ということで、教育体制はいかがでしたか?
入職して最初の1週間は毎日研修でした。
基本的な看護技術の他、医師から疾患についての講義もありました。
また、薬物依存の治療プログラムはかなり専門的な知識が必要なので、3日間くらい研修がありました。
教育体制は、クリニカルラダーです。私は、この病院の前は2年間の看護師経験しかないので、新卒と同じようにやってもらいました。
精神科単科の病院ですが、教育制度はしっかりしていると思いました。
日勤・夜勤の業務内容や繁忙度はいかがですか?
私の勤務している病棟は、日常生活の援助が必要な患者さんはほとんどおらず、多くが薬物依存の治療プログラムのために入院しています。
そのため、プログラムがスムーズに進むような支援をすることがケアの中心です。
年数を重ねると、プログラムのかなり重要な部分を任されることもあります。例えば、自助グループの支援などです。
夜勤は、患者さんは原則寝ている時間なのですが、薬物依存の患者さんは不眠で悩んでいたり、夜になると不安が増す患者さんもいます。
そういう患者さんの話を聞くことが多いです。
あと、時々、看護師の少ない夜勤帯に脱走を試みる患者さんや、隠れて薬物を使用しようとする患者さんもいるので、そういった事故がないように管理する必要があります。
夜勤人数は3人ですが、必ず男性が入るようになっています。日勤も夜勤も、看護師が女性だけにならないようにシフトが組まれています。
万が一の暴力に備えて、常に男性看護師を置くようになっています。
勤務中は、暇ではありませんが、バタバタした忙しさはないです。
残業も少ないと思います。
スタッフの人間関係、医師との関係はいかがですか?
看護師は3分の2くらいが男性です。師長も男性です。以前の職場が女性ばかりだったせいか、初めて来た時「ナースステーションが静かだな」と思いましたね。雰囲気が全然違うと感じました。
職場内では、仕事のこと以外はあまり話さない風潮があります。でも、人間関係は良いと思います。皆、親切だと感じます。
医師は3人くらいいますが、医師との関係も良いと思います。
正直、以前の病院では、医師と話すのが苦手でした。男性看護師は、そう思っている人が多いと思います。
でも、この病院では、医師が看護師をきちんと名前で呼んでくれて、一緒に治療プログラムを実践しているメンバーとして認めてもらえている感じがしました。
普通に話しかけてくれたり、飲みに誘ってくれたりすることもあります。
治療のことでわからないことも、質問すると丁寧に教えてくれるので、医師との関係でストレスを感じることはないです。
この点に関しては、前の病院より断然今の方が良いです。
お給料には満足していますか?
よく、「精神科は給料が高い」と言われますが、普通だと思います。
ただ、残業が少ないので、以前の病院でサービス残業していたことを考えると、悪くはないと思います。
どのような時にやりがいを感じますか?
最近、家族会の運営メンバーに入ったのですが、こういった活動の中でやりがいを感じます。
看護師としての専門性を活かせるというか、自分が必要とされていると感じられるからです。
難しい事例も多いですが、そういう壁にぶち当たっても「これも貴重な経験だ」と思えるようになったのは、看護師として成長してきたということかなぁと感じます。
あと、先日、病院主催の研修会で初めて講師を務めました。その研修会は、全国から医師や看護師が参加するもので、100名くらいの前で話をしました。
緊張しましたが、皆真剣に話を聞いてくれて、「看護師として、こういう活躍の場もあるのだ」ということを知りました。
今後もこの病院で勤務を続けたいですか?
続けたいです。日本では、薬物依存治療の専門家がまだまだ足りていないと思います。
この病院は、医師も看護師もモチベーションが高い人が多く、仕事そのものが楽しいと思えます。
以前の病院では、男性看護師はムードメーカー的な存在にされてしまい、「やっぱり看護師は女の仕事なんだな」と感じることがありました。でも、この病院に来て、考えがガラッと変わりました。
男性看護師もきちんと活躍できるのだということを実感しました。
精神科病棟のまとめ
以上のインタビューから、精神科病棟の特徴をまとめてみました。
- 男性看護師の比率が高い。
- 単科の病院でも、教育制度が整っている施設もある。
- 立地は不便なことも多い。
- 専門的な知識も必要である。
- 残業は少ない。
- 人間関係は良好。
- 医師との関係も築きやすい。
- 給与は相場と変わらない。
- キャリアを重ねると、重要な役割を担うこともある。
- より専門性の高い分野だと、研修講師など、活躍の場を広げることもできる。
看護師転職サイトでは、精神科病院の求人も多く扱っています。
本来は入職してみないとわからないような、具体的な業務内容や実際の残業時間、スタッフ・医師との人間関係など、詳細な内部情報も事前にリサーチして情報提供してくれます。
ネット上で検索できる求人の他、非公開求人と言って、登録した人にのみ紹介できる求人もあります。
また、働いてみたい病院がある方は、「逆指名方式」と言って、求人が公開されていなくても看護師転職サイトのコンサルタントが職場に問い合わせてくれます。
精神科病院への転職・就職に興味がある方は、是非、看護師転職サイトを活用しましょう。