看護師の海外留学がキャリアアップに繋がるとは限らない?帰国後の看護師を待ち受ける厳しい現実…留学経験を活かせる看護師は?
ツイート看護師の「海外留学」はインフレ化している!
近年、海外志向の看護師が増え、看護師にとって「海外留学」は身近なものになってきました。ある程度の規模の病院・施設であれば、必ず一人や二人、海外留学経験を持つ看護師がいるものです。
看護師の海外留学を斡旋・サポートする企業も増え、留学の形態も、「短期留学」のように、夏休み等を利用して行けるものが増えてきました。
また、英語力が不充分な場合には、実際に働かなくとも、見学をさせてもらえるようなプランも登場しています。
そのため、一口に「海外留学」と言っても、その内容やレベルは様々で、ハードルの低いものも登場しているのです。
昔は「選ばれし者」「高い目的意識を持った者」しか行くことができなかった海外留学が、今では“インフレ化”してしまったと言えるでしょう。
様々なレベルのものを全てひっくるめて「海外留学」というひとつの括りになってしまったのです。
海外留学のメリット・デメリットを考えてみよう
看護師が海外留学することのメリット・デメリットの主なものを挙げてみましょう。
- メリット
- 異なる医療文化に触れることで視野が広がる。
- 語学力が上達する。
- 海外の医療現場は分業化が進んでおり、看護師の役割も明確となっているため、働きやすくやりがいがある。
- 労働者が権利を主張する風潮があるため、労働環境が整っており、残業が少ない、長期休暇が取りやすいなどのメリットがある。
- 分野によっては、日本より高いレベルの知識・技術が身に付き、帰国後も第一線で活躍できる可能性が高い。
- デメリット
- 日本を離れている期間、日本国内の情勢に疎くなる。
- 帰国後に再就職する際、留学期間を「ブランク」とされるケースもある。
これらのメリット・デメリットを見ると、海外留学をするならば、きちんと目的意識を持ち、「何を学んでくるのか?」「その後、日本でどう活かすか?」という具体的なビジョンを持つことが重要だということがわかります。
留学から帰国後、辛酸をなめる看護師は多い!?
一見華やかに見える「海外留学」ですが、実際には帰国後、職場の対応に不満を感じる看護師は意外と多いのです。
- 「就職の際、海外留学経験があるので優遇されると期待したが、ただの“ブランク期間”にされてしまった」
- 「国立病院に就職したが、海外の大学を出ていても日本の大卒の給料と同じだと言われた」
- 「英語しか話せない患者さんの対応は、すべてやらされる。他の部署から呼ばれることもある」
- 「地方の病院に就職したのだが、会議などでちょっと意見を言っただけでも、『留学したからって調子に乗って』みたいな目で見られる」
- 「イギリスでアロマセラピーを学んできたのだが、日本の病院ではまだまだアロマは浸透しておらず、活かせる場を見つけられない」
これらの経験を聞くと、留学経験のある看護師を持て余してしまう職場も多いことがわかります。
留学経験を活かせる看護師、活かせない看護師
では、海外留学の経験を帰国後の職場で活かせる看護師と活かせない看護師の違いはどこにあるのでしょうか?
留学経験を活かせる看護師の特徴
1.日本では会得できない知識・技術を身に付けている
留学経験者には、「日本よりも先進的な知識や技術を持っているであろう」と期待する職場や上司が少なくありません。
特にストーマや褥瘡などのケア技術においては、その傾向が顕著です。
また、海外で取得した資格などがあると、客観的にわかりやすいでしょう。
2.日本の看護・医療情勢を理解した上で、海外での知見を取り入れた意見を言うことができる
医療安全や教育というのは、お国柄が出るものです。そのため、留学から帰国後、日本のシステムに対して「もっとこうすれば良いのに」と、改善策に思いを馳せる人も多いようです。
海外で「良い」と思った医療システムがあった場合、日本の文化や法律に照らし合わせて、採用することが可能な方法で提案できるか?ということが鍵になります。
ただただ、「海外ではこうだった」「日本のここがおかしい」と批判めいたことばかりを口にしてしまうと、煙たがられる場合もあります。
自分の留学中も、日本の看護・医療には変化があったことを忘れず、常に最新の情報にアップデートして発言するように心掛けましょう。
そして、自分が日本を離れていた期間、日本の医療を支えてきた人達を尊重する姿勢は忘れないようにしましょう。
3.留学前から、ある程度のポジションについている
これは、「発言力」と言い換えることもできます。
留学前にある程度のキャリアを積んでいる人の意見は採用されやすい傾向にあります。
また、新しいことに取り組む際にも、力を発揮できると期待されます。
4.キャリアプランに一貫性がある
要するに、何のために留学したのかが明確であることです。
留学前にやっていたこと、留学先でやっていたこと、帰国後にやっていることが全てバラバラだと、ただの「移り気な人」と捉えられてしまいます。
最終的に目指すところを明確にしておく必要があります。
留学経験を活かせるのはどんな職場?
海外留学経験を活かして働くには、「留学経験を尊重してくれる職場」で、「留学経験を活かせる働き方」をすることが大切です。
留学経験を尊重してくれる職場とは?
1.海外留学経験のある看護師を積極的に採用している
そもそも、海外留学経験のある看護師の採用に積極的な職場は、様々な経験を持つ看護師を尊重する風土があります。
また、留学による休職制度のある職場や、海外に姉妹施設を持つ病院なども、留学経験を尊重する傾向があります。
2.排他的な風土がない
新しいことを取り入れるのに消極的な職場というのは、留学経験を活かしにくいと言えるでしょう。
「他ではそうかも知れないけど、うちではこうだから」と、異なる意見を排除するような風土のある職場は、あまりお勧めできません。
3.キャリアアップの機会が多く設けられている
様々な知識や経験を公平に評価してくれる職場を選ぶことも重要です。
病院によっては、特定の大学出身者にしかキャリアアップの道が拓かれていなかったり、年齢的な制限を設けていることもあります。
まずは職場探しから
留学経験を活かして働くには、まず、自分で「どのような形で活かしたいのか?」ということを明確にしておく必要があります。
それを踏まえた上で、職場探しをしましょう。
看護師転職サイトでは、海外留学経験を持つ看護師の転職もサポートしてくれます。
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