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看護師働き方診断

看護師になり初めて浴びせられた患者からの暴言・暴力…落ち込む私に追い打ちをかけた最悪な上司

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下町の救急室は、暴言・暴力と背中合わせ

私の勤務先は、
都内でも下町エリアにある、
私立大学病院でした。

 

 

 

下町の救急室では、
酔っ払いの喧嘩沙汰も珍しくありません。

 

 

 

仲裁に入って、
とばっちりを受けた人が運ばれて来たり、

 

病院に到着してもヒートアップした喧嘩が、
収まっていない時などがあります。

 

 

 

それでも、
そんな患者をなだめて落ち着かせ、
適切な処置を施す先輩の姿は、
非常に頼もしく見えました。

 

 

 

慣れないルートキープで失敗、そして…

6月に夜勤の独り立ちをした私は、
一スタッフとして軽症の患者を、
任されるようになりました。

 

 

 

ある夜勤の時、
酒席の喧嘩で、
手を怪我した男性が来院しました。

 

 

 

まだちょっとお酒が残っている様子でしたが、
会話は成立しました。

 

 

 

外科医による怪我の処置が終わり、
念のため1本補液をしてから帰宅することになり、

 

私は最近できるようになったばかりの、
ルートキープを指示されました。

 

 

 

ただでさえ緊張するルートキープですが、
お酒が入って荒っぽい口調の患者を前に、
余計に緊張が増しました。

 

 

 

患者は私の顔を無遠慮にジロジロと見て、

 

「あんたは新人か?」

 

と聞きました。

 

 

 

「はい」と答えながらも、
私は血管を探すことに集中しました。

 

 

 

駆血帯を巻き、
消毒していると「一発で入れろよ!」と、
追い打ちをかけてきます。

 

 

 

「よし!」と気合いを入れて、
いざ留置針を刺すと、
逆血が見られました。

 

 

 

「やった!」
と心の中でガッツポーズをして点滴をつなぐと、
全然滴下が見られません。

 

 

 

徐々に周囲が膨張してきたので、
漏れていると判断しました。

 

 

 

「ごめんなさい。
点滴が漏れてしまっているので
、一旦抜きます」

 

 

 

と言って抜針すると、
患者は傍にあったトレイを、
私に向かって投げつけ、

 

「バカヤロー!」

 

と叫びました。

 

 

 

トレイは甲高い音を鳴らして床に落ち、
数名の先輩と、
先程診察した外科医が駆けつけました。

 

 

 

「こいつが失敗しやがった!」

 

「俺は実験台か!」

 

と、ルートキープの失敗に加え、
私が新人だったことが気に障ったようで、
大声で私に罵声を浴びせました。

 

 

 

リーダーのN先輩が、

 

「私が替わりますから」

 

と患者を諭し、
対応してくれました。

 

 

 

落ち込む私に、

 

外科医は、

 

「点滴が漏れて抜針するのは、
当然の対応だから間違っていないよ」

 

と言ってくれ、
プリセプターのS先輩も、

 

「酔っ払いが大声出したりするのはよくあることだから、
気にしなくていいよ」と

 

声を掛けてくれました。

 

 

 

上司からまさかの追い打ち!?師長を嫌いになった瞬間

朝になり、
日勤者が出勤する時間になりました。

 

 

 

患者からの暴言・暴力は、
上司に報告することになっていたので、

 

私は報告書を書いて、
H師長に昨夜の出来事を報告しました。

 

 

 

私の報告書にサラッと目を通したH師長は、
開口一番、

 

「あなた、本当に反省してるの?」

 

と言いました。

 

 

 

「患者さんがこんな風に感じたのは、
あなたの言動に何か問題があったからじゃないの?」

 

と言い、

 

夜勤が終わったら残って、
プロセスレコードを書くように言われました。

 

 

 

そんな私とH師長とのやりとりを見ていたN先輩とS先輩は、
陰で師長の言動を非難しましたが、

 

私はH師長の指示に従い、
勤務後休憩室に残ってプロセスレコードを書きました。

 

 

 

再びH師長に声を掛け、
プロセスレコードを提出しました。

 

 

 

H師長はプロセスレコードを受け取ると目も通さずに、

 

「患者さんは、とても不安だったんだと思うわよ」

 

などと、

 

完全に患者側に立ち、
私を非難し、責めました。

 

 

 

昨夜、
私をかばい励ましてくれた先輩や医師の優しさが、
今更になって心にしみてきました。

 

 

 

それに口惜しさが入り混じり、
ずっと堪えていた涙が溢れてきました。

 

 

 

私の涙を見て満足したかのように、
H師長は意地悪そうな笑いを浮かべて、

 

「これからは同じようなことがないようにね」

 

と言って、
どこかに行ってしまいました。

 

 

 

そんな間に、
日勤者がお昼休憩に入る時間になっていました。

 

 

 

私に泣いた形跡をみつけた先輩が、

 

「H師長はああいう人だから、
気にすることないよ!」

 

「疲れてるでしょう?早く帰りな」

 

などと優しく声を掛けてくれました。

 

 

 

技術が未熟だった点においては、
私にも非があります。

 

 

 

しかし、
事実を確認しようともせず、

 

頭ごなしに自分の部下を責めるH師長に対して、
私は不信感と嫌悪感がどんどん膨らんでいきました。

 

 

 

看護師という職業が、
甘いものでないことはわかっていましたが、

 

たった一人の上司にこ、
んなに苦しめられるとは思っていなかったのです。

 

 

 

この数か月後、

 

ある事件によりH師長が、
我々の前から忽然と姿を消すことになるとは、
この時誰も予想していませんでした。

 

 

 

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